70年

遠い昔のようで、まだ世代間を現世でぎりぎり繋げる歳月。
終戦70年を目前に、今年96歳で旅立ったばあちゃんをお墓に納めました。
思えばこのお墓には祖父の婿養子先の義両親、祖父母、祖父の早逝した許嫁、私の子供、なかなか不思議な縁者たちが眠っています。すべては祖父母が繋いでくれた縁です。   たっぷり過ぎる愛情を注いでくれた祖父母。
殊にばあちゃんとは生まれてからこの歳になるまで、きっと普通の祖母と孫以上の濃く長い時間を過ごしました。おむつを換えて、ミルクを飲ませてもらった立場も逆転し、晩年はおむつ交換も食事介助もさせてもらいました。
私がするマッサージが大好きで、幼稚園生だった頃から晩年の介護期間に至るまで、毎週のようにマッサージをしました。
最中には決まって昔の話。
正直、もう幼少のころから幾度となく聞いている話で、話し始めてどの時代かさえわかれば、その時点でほぼその内容は諳んじる事ができました。
でも、ばあちゃんの話を聞いているその時間が大好きでした。

  どう自分勝手に想像しても、生き長らえることが難しかった戦禍の状況。
自決の道を選んでも誰も責めることはできない状況で、文字通り、堪へ難きを堪へ、忍ひ難きを忍ひ、いまの時代にバトンを繋いでくれました。
生きたいように生きられなかった時代、微かな希望も抱けなかった時代、大切な人が死にに行くのを旗を振って万歳三唱しなければいけなかった時代、俺だったら乗り切れたかな、と思うと、大した自信は湧いてきません。

  2015年。 いろいろな縁とタイミング、思いが重なって、機能訓練特化型の通所介護という新事業をスタートしました。
優等生っぽく書いてしまうと、あの時代を生き抜いた方々が、最期の時まで少しでも長く健康で自分らしくいられるよう、お手伝いをさせて頂く仕事です。
私がばあちゃんにしたのは素人マッサージでしたが、事業所では国家資格を有するプロ中のプロ、百戦錬磨の専門家達が利用者様1人1人に、毎回心のこもったマッサージをさせて頂きます。そして笑顔とトークの素敵なスタッフさん達が、元気に過ごすための機能訓練のお手伝いをさせて頂いております。

亀の歩みでしか進めませんが、それでも1歩ずつは進んで行ける。10年かければきっと思い描く状況を創り出せる。そう心に銘じて、71年目を生きてみようと思います。